G-5YSV44CS49 世界の人口減少国家③-21世紀半ばからの減少:インド・東南アジア・イラン・南米-|歩く歴史家 BLOG

世界の人口減少国家③-21世紀半ばからの減少:インド・東南アジア・イラン・南米-

歩く歴史家

対象時期:2050~2080年

前稿では、人口が減少していく国は社会経済的な活力を失っていくだろうとの想定から「衰退途上国」とみなした上で、現在総人口がピークを迎え、今後減少に転じる国々を見てきた。今回は、将来総人口がピークを迎え減少に転じる国々を見ていく。

ここで扱う国々の総人口のピークは、2050年~2080年ごろだ。日本のピークに遅れること40~70年、中国の20~50年であるといった時間感覚だ。

21世紀半ばからの衰退途上国

2050年~2060年頃にピークを迎え、これから人口が減っていく衰退途上国の一覧は次のとおりだ。

インド、バングラデシュ、インドネシア、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、イラン、トルコ、チュニジア、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビアなど

これらの国々に遅れること10~20年、2070年~2080年頃に人口が減り始める国は次のとおり。

フィリピン、モロッコ、ベネズエラ

これらの国々は、地域的にくっきりと3つのグループに分けられる。

・南アジア:インド、バングラデシュ

・東南アジア:インドネシア、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、フィリピン

・中東・北アフリカ:イラン、トルコ、チュニジア、モロッコ

・ラテンアメリカ:ブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ベネズエラ

各論

インド

失速気味の中国に代わって、次の成長地域の筆頭と目されるインド。現在のインドは約20~30年前の中国、1980年頃の日本のような人口構造をしている。インドは、若年層の人口がすでにピークに達したが、生産年齢人口はあと20~30年ほど伸び、総人口は2060年代半ばまで増え続ける。

次の中国と目される理由はこれだが、日本と中国の事例から考えると、インドの経済成長もあと20~30年ほどだろう。それだけの長期間続くとも解釈しうる。今後の世界は、18世紀以前の世界と同じくインドと中国が世界の大国として存在し、それにアメリカが加わるという構図を成すだろう。

東南アジア

一歩先を行くタイに20~30年遅れて、他の東南アジア諸国も総人口がピークに達する。この地域は、すでに少子化フェーズに突入しており、20年ほどすれば生産年齢人口がピークに達する。その10年後に総人口がピークに達して、そこから減少し始めるという軌跡を描く。

この地域では、いまや政治的に不安定な国はほぼなくなり(残るはミャンマー)、経済的に安定的成長段階に入った。現在も活気があるが、インドと同じくこの成長はあと20~30年続いていくだろう。

中東・北アフリカ

地域大国イランの人口ピークもすぐ先に見えている。こちらで詳しく述べたが、これからイランは成熟段階に入り、放っておけば民主化していくだろうと私は予想している。ここでは、現支配層の対米強硬路線も時間とともに下の世代から掘り崩されていき、第二次大戦後の同国ように親米国家になっていくだろうと予想しておく。

トルコもすでに少子化フェーズに入っており、生産年齢人口もあと10年ほどでピークに達し、2050年代半ばに総人口が頂点に達する。こちらも地域大国であり、地理的にヨーロッパ、ロシア、アラブ圏を結ぶ結節点にあるが、人口構造はこれから東ヨーロッパ型になり、人口が増加し続けるアラブ側からの圧力を受けることになるだろう。

中東・北アフリカ地域を一瞥して興味深いのは、同地域でも早く成熟国家に達するのは、非アラブ諸国(イラン、トルコ)か、アラブの中心地域から見て辺境に位置し旧宗主国フランスの影響が根強く残るチュニジア、モロッコであることだ。つまり、アラブの中心地は、このあとの記事で触れるとおり人口が増え続ける=若い社会が続いていき、それを取り巻く地域が成熟していく(場合によっては衰退していく)ことになる。

ラテンアメリカ

日本から見ると距離的に遠い南米を含むこの地域は、どうも中途半端だ。ブラジルを除いて人口規模が中程度で、規模的にはヨーロッパに似ているが、少子化のペースや総人口ピーク到達後の減少ペースがアジア的である。しかし、南アジアや東南アジアに比べて政治的・経済的な勢いがいまいち感じられない。

ブラジルをはじめこの地域は将来の経済成長が期待されてきたが、いわゆる「中所得国の罠」に嵌っている国が多く、ベネズエラに至ってはいわゆる「破綻国家」だ。1960年代に提唱された従属理論はこの地域から出てきたわけだが、当然ここは低開発の従属地域とみなされていた。80年代の経済成長により中所得国入りしたものの、勢いは止まってしまった感は否めない。そこから抜け出す国は出てくるのだろうか。人口構造から見るに、あまり期待できそうにない。

プロフィール
歩く歴史家
歩く歴史家
1980年代生まれ。海外在住。読書家、旅行家。歴史家を自認。
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