アメリカは白人人口が減り、ヒスパニック国家化していく
アメリカの人口増加
アメリカは先進国の例外として、今後も総人口が増加していくと予想されている。国連の人口予測を見ても、アメリカ国勢調査局のデータを見てもそのとおりなのだが、内実に目を向けてみると少し違った様相が浮かび上がってくる。
白人は減り、ヒスパニックは増える
以下のグラフをご覧いただきたい。(グラフは、米国国勢調査局の「2017 National Population Projections」を基に筆者が作成)
グラフのとおり、今後白人人口は2016年の1億9,800万人(全体の61.3%)から2060年には1億7,900万人(44.3%)に減る(約10%減)。一方で、ヒスパニック系は2016年の5,700万人(17.8%)から2060年には1億1,100万人(27.5%)に倍増する(94%増)。アジア系は、1,800万(5.7%)から3,700万人(9.1%)に増える(101%増)。
白人の人口動態は、ヨーロッパの人口動態に似ている。ヒスパニックは、ラテンアメリカ系というよりは中東型に近い。各エスニックグループは、出身地域の人口動態とおおよそ似たような傾向を示すが、意外なことにアフリカ系の人口増加率(約40%)は、サブサハラアフリカに比べるとはるかに緩やかである。
白人至上主義
白人対その他で見ると、2050年には白人はマイノリティとなる。すでに一部の西部、南部の州ではそうなっている。この事態に危機を感じているのが、白人至上主義者(white supremacist)であり、トランプ大統領の時代に注目を集めるようになった。
ヨーロッパ系の白人が増え、ヒスパニック系が倍増していく傾向は変わらないと予想されるため、今後も白人がその他のエスニックグループの人口増加圧力に晒され続ける。その過程で、マイノリティになってしまうという強迫観念を抱く白人が増えてもおかしくない。
ヒスパニック系のユースバルジ
これだけ急速にヒスパニック人口が増加する場合、2010年代に中東で起き、現在アフリカで起きているような社会騒擾(こちらを参照)が、ヒスパニックの若者により引き起こされる可能性がある。