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日本が目指すべきは「一億総PPK社会」―医療と健康―

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日本の平均寿命と健康寿命

2022年の日本人の平均寿命は、男性81.05歳、女性は87.09歳。1980年には、それぞれ73.35歳、78.76歳だったので、約40年間で男女ともに約8歳延びている。(厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」)

他方で、健康寿命は男性72.68歳、女性75.38(厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」)であり、平均寿命との差はそれぞれ約8.5歳、11.7歳ある。

厚生労働省によれば、健康寿命の定義は、「健康上の問題によって日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと」とされる。日常生活が制限される程度は人によるが、男女ともにおおよそ10年間ぐらい、何ならかの健康問題を抱えながら生活していることとなる。

75歳以上人口と医療費の相関

グラフ1(1955年~2020年までの5年ごとの75歳以上人口と国民医療費)を見ていただくとはっきりわかるが、医療費は75歳以上の人口とともに増加してきた。

グラフ2のとおり、75歳以上人口は2055年まで増加し続け、そこから減少局面に差し掛かるため、医療費も2055年あたりまでは増加し続けると予想される。

グラフ3は、100歳以上人口の将来予想を示している。団塊の世代が100歳を超える2050年ごろまで増え、その後団塊ジュニアが100歳を超える2075年にピークに達する。現在の100歳以上の半分は寝たきりと言われているため、この比率が変わらないとすると、2055年には約23万人、2075年には約35万人の寝たきりの100歳以上が存在することになる。

団塊の世代は若いころに都市部に流入しているため、この数値は田舎ではなく、東京を始めとした大都市圏で起こる事態である。これから都市部の自治体に住む国民健康保険加入者は負担が増え、逆に高齢者の増加が先ににピークに達する地方部の自治体から減り始めると予想される。

一億総PPK社会に向かって

医療費の3割は生活習慣病への支出であるから、若い頃から予防対策することが可能だ。具体的な方法は、専門サイトを検索すればいくらでも調べられる。

今後高齢者の増加に伴う医療費の増加趨勢は変えられないが、健康なうちから疾病予防に努め、できるだけ多くの人が健康寿命を最大限伸ばすのが、本人にとっても家族にとっても社会にとってもいいことは間違いない。

自分・家族・社会の「三方良し」の行き方と死に方、これがピンピンコロリ(PPK)である。よく使われる標語をもじれば、日本が目指すべきは「一億総PPK社会」となる。 「一億総PPK社会」は、楽しく健康に高齢生活を送り、後悔なく死んでいこうという積極的な社会構想だ。

私自身も、健康体で平均寿命あたりまで過ごし、家族にそろそろ死ぬぞと言いつつ心理的な準備を整えてもらいながら、ある日ぽっくり逝くというのが理想だ。

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1980年代生まれ。海外在住。読書家、旅行家。歴史家を自認。
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